ケアプランの長期目標・短期目標の書き方と文例

· 株式会社狼煙

ケアプランの目標欄は、書き手によって表現が揺れやすく「支援者側の都合」で書いてしまいがちな箇所です。長期目標と短期目標のつながり、ADLとIADLの整理、そして利用者本位の言い回しを押さえると、意図が伝わりモニタリングでも評価しやすい目標になります。この記事では、書き分けの考え方と、NG例を改善例に直す具体例、そのまま参考にできる文例を整理します。

この記事の要点

  • ・長期目標は望む暮らしの到達点、短期目標はその一歩=二つはつながっている
  • ・主語は利用者本位に(支援者の行為は手段側に置く)
  • ・ADLとIADLで整理すると抜け漏れが減り具体化しやすい
  • ・NG例は「抽象的・否定形・主語が支援者」=達成を判断できる肯定形へ直す
  • ・様式や期間の運用は事業所・保険者により異なるため所属の様式に合わせる

長期目標と短期目標は「ゴールとその一歩」で書き分ける

長期目標は、援助の到達点=「その人がどんな暮らしを取り戻したい・維持したいか」を表す言葉です。おおむね計画の期間全体を見通した状態像で書き、利用者や家族が読んで納得できる表現にします。

短期目標は、その長期目標に近づくための当面の一歩です。多くの場合、より具体的・行動的で、期間が来たら達成できたかどうかを判断できる書き方が望まれます。長期目標がゴール、短期目標がそこへ向かう段階、という関係を意識すると全体が一貫します。

目標の期間や区分の考え方は事業所や保険者(市区町村)の様式・運用で異なる場合があるため、実際の記載は所属事業所の様式と最新の運用に合わせてください。

  • ✓ 長期目標:計画全体を見通した到達点(望む暮らしの状態像)
  • ✓ 短期目標:長期目標へ近づく当面の一歩(達成を判断しやすい書き方)
  • ✓ 両者はつながっている=短期目標を積み重ねると長期目標に届く関係

利用者本位の表現にする(主語を利用者にする)

目標は「支援者が何をするか」ではなく「利用者がどうなりたいか・どう暮らしたいか」を主語にすると、本人中心の計画になります。サービス提供者側の行為(見守る・介助する・訪問する)は目標ではなく、目標を支える手段(サービス内容)の側に置くのが基本です。

本人の言葉や希望をできるだけ活かし、否定形より肯定形で書くと、読んだ本人が前向きに受け止めやすくなります。ただし過度に断定的・誇大な表現(必ず治る、完全に自立する等)は避け、現実的で無理のない状態像にとどめます。

主語の置き方(手段と目標を混同しない)

混同しやすい書き方目標としての整理
ヘルパーが掃除を行う自宅で安心して過ごせる生活環境を保つ(掃除支援は手段側へ)
職員が見守る転倒せずに自分のペースで室内を移動できる
リハビリを提供する手すりを使って自分でトイレまで行けるようになる

ADLとIADLで目標を整理すると書き分けやすい

生活の目標は、基本的な動作(ADL=食事・排泄・入浴・移動・着替えなど)と、より生活を広げる活動(IADL=調理・買い物・服薬管理・金銭管理・外出など)に分けて考えると、抜け漏れが減り、短期目標に落とし込みやすくなります。

まず本人が「困っていること・したいこと」を聞き取り、それがADLとIADLのどこに当たるかを整理します。そのうえで、達成を判断できる短期目標に具体化していきます。

  • ✓ ADLの例:トイレ・入浴・移動・着替え・食事といった基本動作
  • ✓ IADLの例:調理・買い物・掃除・服薬管理・金銭管理・外出・交流
  • ✓ 「したいこと」をADL/IADLに整理→達成を判断しやすい短期目標へ具体化

NG例と改善例(そのまま直せる)

目標欄でつまずきやすいのは、抽象的すぎて評価できない、主語が支援者になっている、期間内に達成できるか判断できない、の三つです。次の対応表で、よくあるNG例を改善例に直す型を確認してください。

改善例はあくまで表現の型です。実際は本人の希望・心身の状態・生活環境に合わせて調整し、達成の可否を後で評価できる言葉にすることが大切です。

よくあるNG例 → 改善例

NG例なぜ弱いか改善例
元気に過ごす抽象的で達成を評価できない週2回はデイサービスに通い、体を動かす習慣を続けられる
転倒しないようにする否定形で状態像が見えにくい手すりを使って、日中は自分で居室からトイレまで移動できる
ヘルパーが服薬を確認する主語が支援者(手段になっている)飲み忘れなく、朝と夕の薬を自分で管理して飲めるようになる
健康を維持する広すぎて短期目標に落とせない毎日決まった時間に食事をとり、体重を大きく減らさず過ごせる

そのまま参考にできる目標文例

以下は表現の型として使える文例です。長期目標は望む暮らしの状態像、短期目標はその一歩、という関係を意識して選び、本人の言葉や状態に合わせて調整してください。

  • ✓ 長期:住み慣れた自宅で、家族と安心して暮らし続けられる
  • ✓ 短期:手すりを使って、自分で浴室に入り体を洗えるようになる
  • ✓ 長期:近所の友人と交流を続け、外出する楽しみを持って過ごせる
  • ✓ 短期:週1回、送迎を利用して通所に参加し、人と話す機会を持てる
  • ✓ 長期:できる家事を自分で続け、生活のはりを保てる
  • ✓ 短期:温めるだけの簡単な調理を自分で行い、昼食を用意できる

この作業に使えるツール

よくある質問

Q. ケアプランの長期目標と短期目標の違いは何ですか?

A. 一般的に、長期目標は計画全体を見通した到達点(望む暮らしの状態像)、短期目標はそこへ近づくための当面の一歩を表します。短期目標は達成できたかどうかを後で判断しやすい書き方にするのが基本です。区分や期間の考え方は事業所・保険者の様式で異なる場合があるため、所属の運用に合わせてください。

Q. 目標が抽象的だと言われます。どう直せばよいですか?

A. 「元気に過ごす」のような広い表現は、達成を評価できる具体的な行動や状態に落とし込むと改善しやすくなります。たとえば「週2回通所して体を動かす習慣を続けられる」のように、期間が来たときに達成できたか判断できる言葉にすると伝わりやすくなります。

Q. 目標の主語は利用者と支援者のどちらにしますか?

A. 目標は利用者を主語にし「本人がどうなりたいか・どう暮らしたいか」を書くのが基本です。ヘルパーが介助する・職員が見守るといった支援者の行為は、目標そのものではなく、目標を支える手段(サービス内容)の側に整理すると本人中心の計画になります。

Q. 文例をそのまま使ってよいですか?

A. 文例は表現の型として参考にし、本人の希望・心身の状態・生活環境に合わせて調整してください。同じ言い回しでも、対象となる方の状況に合っていなければ適切な目標にはなりません。最終的な記載は所属事業所の様式と運用に沿って整えてください。

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